今回は
二項分布を用いた不良率の検定
および推定の方法について
説明します
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二項分布
無限母集団からランダムにn個サンプリングを
行いその中に含まれる不良の数をxとする
n個に含まれる不良の数は
確率変数であり
0,1,2,….nの値のいずれかを取る
この状況において
不良の数は二項分布に従い
以下のように与えられる
\(f_r = P_r{x = r} =nCr P^r(1-P)^{n-r}\)
Pは母不良率
母集団における真の不良率です
また\(nC_r\)は以下の式によって求められる
\(\displaystyle nC_r = \frac{n!}{r!(n-r)!}\)
二項分布は試行回数nと確率Pが決まれば
一意に定まるので\(B(n,p)\)とする
二項分布に従う確率変数xの平均と分散は次のようになる
\(E(x) = nP\)
\(V(x) = nP(1-P)\)
n個の製品の内n個が不良品であったとすると
\(\displaystyle \hat P = \frac{x}{n}\)
データより求められる不良率であり
母不良率を推定する統計量である
\(\hat P\)の期待値や分散は以下のことが成り立つ
\(E(\hat P) = P\)
\(\displaystyle V(\hat P) = \frac{P(1-P)}{n}\)
二項分布を利用した解析手法
二項分布を正規近似した後
検定と推定の手法を
利用し解析を行う
二項分布の近似手法を紹介する
近似法 B1 :
確率変数xがB(n,p)に従う時
\(\displaystyle \hat P ^* =\frac{x + 0.5}{n +1}\)は近似的に\(\displaystyle N(P, \frac{P(1-P)}{n})\)に従う
母不良に関する検定例題
ある工場では製品の不良が11%と問題に
なっていた。
そこで改善案が提出され
改善案適応後
試作品を300個作った所
23個の不良が発見された
改善案後の製品の集まりを母集団とし
その母不良率をPとする
Pが従来の0.11より減少するかどうかを
検定や,Pの推定を行っていく
帰無仮説 : 改善前と改善前後の不良率の値は変わらない
対立仮説 : 従来の値をより小さい値になっている
帰無仮説 : \(H_0 : P = P_0\)
対立仮説 : \(H_1 : P <P_0\)
有意水準を定める
\(α = 0.05%\)
棄却域を定める
\(u_0≦-1.645\)
検定統計量を定める
\(\displaystyle \hat p^*=\frac{x+0.5}{n+1}\)
\(\displaystyle \hat p^* = \frac{23 + 0.5}{300 +1}\)
\(\displaystyle = 0.078\)
\(\displaystyle u_0 = \frac{\hat P^*-P_0}{\sqrt{P_0(1-P_0)/n}}\)
\(\displaystyle u_0 = \frac{0.078 -0.11}{\sqrt{0.11(1-0.11)/300}}\)
\( = -1.77\)
\(u_0≦-1.645\)となるので有意である
\(H_0\)を棄却し,Pは従来の値より小さくなったと言える
母不良率Pの推定例題
母不良率Pの推定手順
点推定 : \(\hat P = x/n\) (\(\displaystyle \hat P^* = \frac{x+0.5}{n+1}\))
区間推定 : 信頼率95%のPの信頼区間
\(\displaystyle [\hat P^* – 1.96\sqrt{\frac{\hat P^*(1-\hat P^*)}{n}} , \hat P^* + 1.96\sqrt{\frac{\hat P^*(1-\hat P^*)}{n}}]\)
点推定 : \(\displaystyle \hat P^* = \frac{23}{300} = 0.078\)
区間推定 :\(\displaystyle [0.078 – 1.96\sqrt{\frac{0.078・0.922}{300}} , 0.078 + 1.96\sqrt{\frac{0.078・0.922}{300}}]\)
\(=(0.0477,0.1085)\)