こんにちわ!Yamuです!
推定統計学では母集団や母数を
データから推測する手法として
‘検定’と‘推定’といった
統計的な手法があります。
’推定’は前回記事
【推定統計】点推定と区間推定をわかりやすく解説 母平均の推定の例題付き
で解説していきました。
今回は‘検定’について
例題を交えながら
解説していきます!
目次
検定とは?
部品Aを製造している工場がある。
工場のある工程(装置)を通すと
部品Aのある寸法は10umとなるように設定している。
しかし装置Aで作った製品は
設定値10umからずれているのではないか?
と現場で疑われている。
そこでデータをサンプリングして確かめることにする。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
10.5 | 10.8 | 9.7 | 8.8 | 10.5 | 10.8 | 11 | 10.2 | 10.5 | 10.2 |
平均値\(\bar x\)を求めてみます
\(\frac{10.5+10.8+9.7+8.8+10.5+10.8+11+10.2+10.5+10.2}{10}\)
\(\bar x=10.3\)
結果\(\bar x=10.3\)によって
装置Aから作られている部品Aは
設定値よりずれているかどうか判断できるでしょうか?
結果を客観的に評価するために‘検定’
という統計的な手法があります。
母分散が\(σ^2=0.2\)と分かっているとき
部品Aの寸法が正規分布N(10,0.2)に従うと仮定し
統計量 \(\displaystyle u_0= \frac{\bar x-μ}{\sqrt{σ^2/n}}\)を計算すると
\(\displaystyle u_0= \frac{10.3-10}{\sqrt{0.2/10}}=2.1\)
統計量\(u_0\)は
N(0,1)の標準正規分布に従う性質を持っている
u=2.1は標準正規分布のどの区間にあるだろうか?
u=2.1は標準正規分布のどの区間にあるだろうか?
信頼率95%の区間にu=2.1があるか確かめる
確率分布表 より
\(Pr(-1.960≦u≦1.960)=0.95\)
u=2.1より信頼率95%の外にあることが分かりました。
\(u=2.1\)になる確率は5%以下です
もしこの装置Aが\(μ=10\)で
作れる能力を持っているのであれば
取得したデータの平均値になる確率が
5%以下であることは不自然と
考えることは自然なことです。
このような判断を下す一連の流れ
つまり手法を検定と言います。
検定手順
検定手順について
先ほどのデータを使って
説明していきます!
料理と一緒で
一旦レシピを
覚えてしまえば
難しくないです!
検定とはで紹介した装置Aのデータを使って
装置Aで作られた部品Aのある寸法は
設定値\(μ=10\)から変化しているか検定せよ
\(σ_0^2=0.2\)とする
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10.5 | 10.8 | 9.7 | 8.8 | 10.5 | 10.8 | 11 | 10.2 | 10.5 | 10.2 |
検定の方針を決める
今回母平均\(10\)から変化しているかどうか
が論点なので両側検定を行う方針を設定する
帰無仮説と対立仮説を設定する
検定用語 | 記号 | 用語の意味 |
帰無仮説 | \(H_0\) | 変数や効果に関して影響がない |
対立仮説 | \(H_1\) | 帰無仮説を否定する仮説 |
新しい薬がある病気のために効果があるか
調査をする場合,帰無仮説と対立仮説を求めよ
\(H_0\):新しい薬は治療に効果がない
\(H_1\):新しい薬は治療に効果がある
例題2は\(μ=20\)が変化しているか
変化していないかが論点となるので
帰無仮説と対立仮説は
\(H_0:μ=20\)
\(H_1:μ\neq20\)
有意水準αを決める
\(H_0\)が成り立つかどうか判定するために有意水準\(α\)を設定する
検定用語 | 記号 | 意味 |
有意水準 | \(α\) | 得られたデータの値が\(H_0\)の元で不自然か自然か判断するための基準 |
臨界値 | – | 統計量と直接比べられる境界値 |
有意水準を\(α=0.05\)と設定する
棄却域Rを求める
検定用語 | 記号 | 棄却域\(α=0.05\) |
棄却域 | \(R\) | – |
対立仮説 (両側検定時) | \(H_1:μ≧μ_0\) | \(1.96≦❘u_0❘\) |
\(1.96≦❘u_0❘\)の時\(H_0\)は棄却され有意水準\(5%\)で有意である.
検定に利用する統計量の計算
\(\displaystyle u_0= \frac{\bar x-μ}{\sqrt{σ_0^2/n}}\)を計算すると
\(\displaystyle u_0= \frac{10.3-10}{\sqrt{0.2/10}}=2.1\)
検定の結論を出す
\(u_0=2.1\)なので有意である\(H_0\)を棄却し装置Aは
\(μ=10\)からズレていると判断できる
検定の種類
検定 | 対立仮説 | 棄却域 |
両側検定 | \(μ\neqμ_0\) | \(1.96≦❘u_0❘\) |
左片側検定 | \(μ<μ_0\) | \(-1.645≧u_0\) |
右片側検定 | \(μ>μ_0\) | \(1.645≦u_0\) |
両側検定(5%)
\(1.96≦❘u_0❘\)の時有意である、帰無仮説\(H_0\)は棄却される
左側検定(5%)
\(-1.645≧u_0\)の時有意である、帰無仮説\(H_0\)は棄却される
右側検定(5%)
\(1.645≦u_0\)の時有意である、帰無仮説\(H_0\)は棄却される
参考文献
検定の理論に関して
分かりやすく書いてある良書です
まとめ
1.検定の方針を決める
2.帰無仮説\(H_0\),対立仮説\(H_1\)を設定する
3.有意水準\(α\)決める
4.棄却域\(R\)を決める
5.統計量の計算をする
6.統計量と棄却域を比較し検定の結論を決める