推定統計学では
研究者、実験者が
考えた仮説に対し
データから統計的に
証明する手法
仮説検定という手法があります
今回は仮説検定を
製品品質の評価に
応用します
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目次
製品の品質問題
部品Aを製造している工場がある。
工場のある工程(装置)で
部品Aを作っている
部品Aの寸法は10umとなるように設定している
しかし装置Aで作った製品は
設定値10umからずれているのではないか?
と現場で疑われている。
そこでデータをサンプリングして確かめることにする。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
10.5 | 10.8 | 9.7 | 8.8 | 10.5 | 10.8 | 11 | 10.2 | 10.5 | 10.2 |
平均値\(\bar x\)を求めてみます
\(\frac{10.5+10.8+9.7+8.8+10.5+10.8+11+10.2+10.5+10.2}{10}\)
\(\bar x=10.3\)
結果\(\bar x=10.3\)によって
装置Aから作られている部品Aは
設定値よりずれているかどうか判断できるでしょうか?
このずれているかどうかを統計的に
客観的に判断する手法として
‘仮説検定‘
という統計的な手法があります
製品の品質問題に対する仮説検定の立て方
装置Aで作った製品は
設定値10umからずれているのではないか?
ということを実証するために
いくつか仮説を立てます
母集団は部品Aの寸法
部品Aの寸法は正規分布に従う
仮定の話だが
母分散が\(σ^2=0.2\)
部品Aの寸法が正規分布N(μ,0.2)に従うと考える
そして二つの仮説を立てる
帰無仮説 : 設定値10umからズレていない
対立仮説 : 設定値10umからズレている
このことを次のように表現する
\(H_0: μ = μ_0(μ_0 = 20)\)
\(H_1 :μ ≠ μ_0\)
仮説検定では\(H_0\)が成り立っている
条件下の元でデータが不自然であるか
自然であるか議論します
検定統計量の計算
\(H_0\)が成り立っているか確認するために
得られたデータから統計検定量 \(u_0\)を
計算します
得られたデータの平均値は
\(\bar x=10.3\)
\(\displaystyle u_0= \frac{\bar x-μ}{\sqrt{σ^2/n}}\)を計算すると
\(\displaystyle u_0= \frac{10.3-10}{\sqrt{0.2/10}}=2.1\)
統計量\(u_0\)は
N(0,1)の標準正規分布に従う性質を持っている
有意水準を設定する
計算された検定統計量が
\(H_0\)の元で不自然かどうかの
判断として有意水準と棄却域を設定する
例えば有意水準5%にすると
\(u=1.96\)
1.96を基準として
\(❘u_0❘≧1.96\)
の場合有意水準5%を超えるので
棄却域に入るので
\(H_0\)を排除して
\(H_1\)と判定する
\(❘u_0❘<1.96\)
の方は採択域と呼び
この中に\(u_0\)が
入る場合\(H_0\)を採択し
\(H_0\)と判断する
u0の値と有意水準の値を比較して検定を行う
u=2.1より信頼率95%の外にあることが分かりました。
\(u=2.1\)になる確率は\(H_0\)
の元では5%以下です
もしこの装置Aが\(μ=10\)で
作れる能力を持っているのであれば
取得したデータの平均値になる確率が
5%以下なので不自然と
考えます。
このような判断を下す一連の流れ
つまり手法を検定と言います。
検定の種類
検定 | 対立仮説 | 棄却域 |
両側検定 | \(μ\neqμ_0\) | \(1.96≦❘u_0❘\) |
左片側検定 | \(μ<μ_0\) | \(-1.645≧u_0\) |
右片側検定 | \(μ>μ_0\) | \(1.645≦u_0\) |
両側検定(5%)
\(1.96≦❘u_0❘\)の時有意
帰無仮説\(H_0\)は棄却される
左側検定(5%)
\(-1.645≧u_0\)の時有意
帰無仮説\(H_0\)は棄却される
右側検定(5%)
\(1.645≦u_0\)の時有意
帰無仮説\(H_0\)は棄却される
参考文献
第3章 検定と推定の
考え方より
まとめ
1.検定の方針を決める
2.帰無仮説\(H_0\),対立仮説\(H_1\)を設定する
3.有意水準\(α\)決める
4.棄却域\(R\)を決める
5.統計量の計算をする
6.統計量と棄却域を比較し検定の結論を決める